飛行時間型二次イオン質量分析装置 (TOF-SIMS)
PHI nanoTOF II™
特長
- TOF-SIMSは基礎研究分野のみでなく、製品の評価、故障解析など幅広い分野で利用されてきています。
- テストケースで作られた平坦なサンプルのみではなく、製品化された、例えば複雑な構造を持つ様な試料等が評価されるようになってきました。
- 本製品は、TRIFTの持つ光学的特長から試料表面の凹凸や形状、また導電物や絶縁物が複雑に組み込まれた試料などに最も強みを発揮する実用的なTOF-SIMS装置です。
仕様
複雑な形状の試料に適したTRIFT™型アナライザ
トリプルフォーカス静電アナライザ(TRIFT型アナライザ)は、広いエネルギーバンドパスと大きな取り込み立体角により、高質量分解能と高検出感度測定を同時に実現します。さらに100 μmを超える深い焦点深度により、形状による影響を抑えたイメージングを可能にします。
高精度測定を実現する一次イオン銃
新しいイオン銃により最小ビーム径70 nm以下を実現
イオン源は、ガリウム、金、ビスマスから選択可能です。新開発一次イオン銃の性能
新開発一次イオン銃により、最小70 nm以下の空間分解能を可能にしました。さらに、新設計パルス圧縮(バンチング)機構の採用により、感度・空間分解能・質量分解能の性能を同時に高めました。
分析視野 5 μmで分子分布観察が可能に
左図は高空間分解能モードで取得したPS/PMMAポリマーブレンドの観察結果を示します。従来AFMなどで観察をしていたサブミクロン領域の相分離構造を分子分布として明瞭に観察することが可能です。
高質量分解能モードでも鮮明なイメージ取得が可能
左図は有機材料基板上に存在する2種類の異なる有機物を分離検出した例を示します。低分子量炭化水素を核としてその周囲に芳香族系の炭化水素が分布している様子を確認できます。nanoTOF II は、広い質量範囲にわたって高感度・高空間分解能・高質量分解能を同時に実現し、より鮮明な分子イメージングを提供します。
3次元深さ方向分析を可能にする各種スパッタイオン銃
高い深さ方向分解能を実現する高輝度セシウムイオン銃
高い深さ分解能の実現とともに深さ方向分析のスループットを大幅改善します。最小エネルギーは250 eVで使用可能です。
低加速時の試料電流密度を大幅に改善しており実用的なスパッタリング速度で幅広い分析要求に応えます。
下図はGaAs/AlGaAsの超格子の深さ方向分析結果を示します。
(図中、a) 試料の模式図, b) 触針式表面粗さ測定器によるクレーター形状観察結果)
約3 μmの深さにおいても深さ分解能が劣化することなく、層構造を正確に分析することが可能です。
幅広いアプリケーションに対応する各種スパッタイオン銃
SmartSoft™で快適な操作を実現
抜群の操作環境を提供するソフトウェア
従来のデュアルモニターによる高い操作性は維持しつつ、XPS(X線光電子分光分析装置)やAES(オージェ電子分光分析装置)のソフトウェアであるSmartSoftを導入しました。グラフィックユーザーインターフェースを共通化することで装置間の相互利用がより簡便になりました。
また、イントロカメラによる試料の全景写真と、分析室の高分解能ライブビューイメージにより、測定箇所の特定が容易に行えるようになりました。
多彩なサンプルハンドリング
試料ホルダー
標準でバックマウントホルダーとフロントマウントホルダーの二種類をご用意しています。また、特別仕様のホルダーもご用意しています。試料冷却・加熱ホルダー
試料冷却・加熱ホルダーは、試料ステージの動作中でも冷却・加熱できます。 特に試料冷却は試料の導入から分析中まで冷却することが可能です。トランスファーベッセル
グローブボックス中で取り付けた試料を雰囲気を変えずに導入でき、分析後、大気に触れることなくグローブボックスに戻すことができます。ターンキー帯電中和
nanoTOF IIでは、低エネルギー電子線に加えて、低エネルギーArイオンを同時に照射しつつ(特許※)、負電位はイオン、正電位は電子が、それぞれが帯電中和を行います。絶縁性の高い試料においても安定した分析が可能となりました。豊富なオプション群
- Arガスクラスターイオン銃
- C60イオン銃
- Csイオン銃
- Ar/O2スパッタイオン銃
- 試料冷却・加熱機構
- 試料高温加熱機構
- トランスファーベッセル
- 酸素リーク機構
- オフラインデータ処理システム
- 各種特殊ホルダー
- 高速Zalar回転™機構